🍣SUSHI🍣

この投稿は「カオスの坩堝 Advent Calendar 2017」の一日目の記事です。

満を持してやってまいりました「カオスの坩堝 Advent Calendar 2017」。一日目は私艮鮟鱇が担当いたします。張り切ってまいりましょう。

さて何事でも1つめというのは重要なもので、これによって全体の流れというか雰囲気が決まってしまうといっても過言ではないわけです。そう考えるといささか緊張しますが、そんなことを言っていても始まらないのでとにかく書きます。

時に皆さんは寿司が秘める驚くべきパワーをご存知でしょうか。生魚に酢飯という結構クセのある食材の組み合わせにも関わらず大変美味であり、いまや海外にも進出しているこの食べ物は摩訶不思議な力を持っているらしく、最近だとサイゼPが「∞まわる∞」という曲を出していたり、プログラマ界隈ではいろいろな場所に「🍣」を流すことが流行ったり、はたまた寿司を奢ることを盛り込んだライセンスなんていうものもあります

そんなみんな大好きお寿司ですが、よく考えると、現代の寿司には二種類の形態があることに気が付きます。すなわち、「回る寿司」と「回らない寿司」です。

前者すなわち「回る寿司」とは、いわゆる回転寿司を指します。代表的な店舗としては「くら寿司」や「はま寿司」、「スシロー」といったところでしょうか。一皿100円からと比較的リーズナブルに寿司を食べられる一方で、味はまあそこそこ。自分が食べているものが果たして本当にマグロなのかと問うてはいけないという不文律もあります。

対する後者すなわち「回らない寿司」は、伝統的な形態を取る寿司のことを言います。カウンターの奥に大将が居て、「マグロ一丁!」「ヘイお待ち!」みたいなイメージですよね。大抵一店舗だけの小さなお店で、チェーン店などは少ない印象です。こちらは「回る寿司」とは違ってお値段が少々するものの、その分美味しいものを食べることができます。不文律もありません。マグロを頼んだのにアロツナスだのガストロだのが出てくる心配は、もはや無用なのです。

上で述べたことを軽くまとめると以下のようになります。

名称値段
回る寿司OX
回らない寿司XO

さて、ここで「名称」の部分に注目してみましょう。「回る寿司」「回らない寿司」という言葉は、本来寿司の価格や味には何の言及もしないはずです。「回る」や「回らない」という語句は、あくまで対象――この場合は寿司――がいかなる運動をしているのかということを表すに過ぎません。ところが、日本の文化においてこれらは寿司の形態と分かちがたく結びついてしまい、値段やら味やらを表すことになってしまったのです。

ここで一つ問題が生じます。すなわち「ととぎん」などの、寿司が回転しているにも関わらず、値段が高く味も良い寿司屋をどのように表現するか、ということです。「回らない寿司」というのは物理的状況として語弊があるが、「回る寿司」と言ってしまうとチープなイメージがつきまとう。まさに二律背反のジレンマがここに存在するわけです。

これを解決するためには、「回る寿司」と「回らない寿司」にあらたな修飾語「回っている」と「回っていない」をつけることが必要不可欠です。すなわち、「回っている回る寿司」は「くら寿司」を表し、「回っていない回らない寿司」は高級寿司店を指し、そして「回っている回らない寿司」は「ととぎん」を意味するのです。ちなみに、「回っていない回る寿司」は未だに見いだせていませんが、強いて言えば停電中の「くら寿司」でしょう。

さて、「回っている回らない寿司」などと聞くと少し混乱するように感じる方もいるかも知れません。「結局回っているのか回っていないのかどっちなんだ?」というお怒りはもっともです。それでも個人的には「トゲアリトゲナシトゲトゲ」よりよほど分かりやすいとは思いますが、一応念の為ということで、「寿司屋早見表」を下に掲げておきます。実用的にはこれが便利かと思われます。

回っている回っていない
高い回っている回らない寿司(「ととぎん」)回っていない回らない寿司(高級寿司店)
安い回っている回る寿司(「くら寿司」)回っていない回る寿司(停電中の「くら寿司」)

これでめでたしめでたし、となれば良いのですが、そうは問屋がおろしません。昨今の日本ではグローバル化ということが盛んに取り沙汰されます。寿司が海外でも食されている現状、この流れを無視することはできないでしょう。そう、我々には如何にしてこれらを英語で区別するかということまで考える必要があるということです。

「回転寿司」といえば入試英作文などではしばしば目にする単語で、教師から「”cycling sushi”とは言わないんだ!」と教えられた方も多いかと思います。実際そのとおりのようでWikipediaには”Conveyor belt sushi”と書いてあります。あるいは”kuru kuru sushi”とか。しかしこれでは、上で見てきたような4つの寿司形態の区別をつけることができません。

手っ取り早い方法は、「ベルトコンベアーに乗って回っている」ということを意味する、”conveyor-belt”という動詞を作ることでしょうか。これを使って”conveyor-belted sushi”で「回転寿司」を表すと約束すれば、回っている回る寿司は”conveyor-belted sushi that is going around”と書けますし、回っていない回らない寿司は”un-conveyor-belted sushi that isn’t going around”、そして回っている回らない寿司は”un-conveyor-belted sushi that is going around”と書けそうな気がします。

しかし、日本の回転寿司という文化に慣れ親しんでいない人にとってこれは暗号も良いところでしょう。なんちゃらジェイソンでなくても”Why Japanese people!?”と叫びだしそうな気がします。かといって、”expensive sushi that is going around”などと逃げるのも、日本語の微妙なニュアンスと洒落を伝えることができず残念です。さてどうしたものか。

実はこれに対して明確な答えを私は持っていません。そんな状態で記事を書くなと怒られてしまいそうですが、いやだって英語わからんのだもの。論文を書いているわけじゃあるまいし、Advent Calendarはこれでいいのだ。

最後に、Twitterで素晴らしい言葉を見つけたので引用して終わりにします。読了ありがとうございました。

この記事は「カオスの坩堝 Advent Calendar 2017」の1日目の記事でした。艮鮟鱇が担当しました。2日目はwottoさん担当の予定です。

コメント

  1. takshaka より:

    くだらないのに面白かった。ありがとう。

  2. nininga より:

    おすしの遠心分離