最近のAI・仮想通貨ブームに思うこと

この投稿は「カオスの坩堝 Advent Calendar 2017」の24日目の記事です。

はじめまして。カオスの坩堝 Advent Calendar 2017 24日目担当のPiBVTです。おそらくほとんどの方が僕のことをご存じでないと思います。簡単な自己紹介でもしようかと考えたのですが、 紹介したところで何ら役に立たないので控えさせていただきます。

今日は12月24日でクリスマスイブですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。幸せな方もいれば、僕のように1人で過ごしている方もいるかと思います。せっかくのクリスマスイブなのでクリスマスにまつわることを書くのがよいかと思ったのですが、あえて全く関係ない「AI・仮想通貨」について書かせていただきます。

AIについて

まずはAIについて徒然なるままに書いていきます。

第三次AIブーム到来

多層型ニューラルネットワークを利用した深層学習(ディープラーニング)が実用化され、AI研究は一大産業となりました。AIに関係ある企業、関係ない企業も決まり文句のようにAI,AIと叫んでいて、まるでAIが万能であるかのように錯覚してしまいそうですね。まずは、このブームの発端について少し説明しておきたいと思います。

ニューラルネットワークという考え方自体はAI黎明期の1950年代から存在してましたが、当時は教師データの不足や計算資源の不足で高い精度は得られませんでした。しかし、長年の研究と計算能力の改善によって、大量の教師データを学習することが可能になりました。さらに、「隠れ層」の存在する多層型ニューラルネットワーク(多層型パーセプトロン、畳み込みニューラルネットワーク等)の実現によって画像認識コンテストで優勝するほどの成績を収めました。まさにここが今の一大AIブームの起点となったのです。

それ以来、Google、Apple、Microsoft等の大企業はこぞってAIの研究を開始し、優秀なAI研究者は次々と吸収されていきました。普通の企業でも「なんかよく分からんが、AIはいいぞ」という噂に乗っかって業務を自動化させるべくAIを導入したり、宣伝文句でもAIという言葉が目立つようになりました。まぁAIがブームになって嬉しいことには嬉しいのですが、今まで見向きもしなかった人たちがこぞってAIを語るようになったのは異様な気もします。それだけAIが身近になり、注目される分野となったということなんですかねぇ。

AIは人を超えるのか?

このテーマに関して考えることがよくあるのですが、現状僕の考えとしては「まだ無理だろう」というところですかね。深層学習に関しては研究がまだまだ不十分でそのポテンシャルは計り知れないのですが、原理上、「大量の教師データ」が必要となるところがボトルネックになるような気がしてます。画像処理、音声認識が成功したのは膨大な教師データが存在するからであり(間違ってるかもしれません)、会話するロボットに関しても、人間の会話パターンを学習することで実現しているそうです。某M社の会話AIがナチズムを肯定したことでも有名ですね。あれは一部の人間がそのような情報を学習させたため起きたと言われてます。

画像認識や音声認識に関してはすでに人間よりAIの方が優秀ですが、人間に出来てAIには出来ない分野があります。それは「探求」です。今のAIは、与えられた情報を学習して学習をもとに判別対象を確率的に「なんかこれっぽい」と判断してるに過ぎません。積極的に学習データを自分で取得して学習するアクティブなAIも存在しますが、すべてのAIはあくまでプログラム上に形成されているため、アルゴリズムという限界を超えることは出来ません。この「アルゴリズムの限界」が今のAIの限界であると僕は考えてます。アルゴリズムの限界によってAIが自分でプログラムを作ることは不可能(詳しいことは省略しますが、証明は存在します。)であるが故に学習範囲が限定され、そもそも探求等ということは出来ないと思うんです。人間のまねごとは出来ても、人間と同等の存在にはなり得ない。というのが僕の考えです。

なんで「探求」?

正直なところ、自動操縦とかのAIに探究心なんか必要ないですよね。でもそれでは一定のアルゴリズムに沿って作業するちょっと賢いロボットに過ぎないと思うんです。正直それでは面白くない。会話AIも所詮ネット上の情報を取得してしゃべるか、学習した情報をもとにしゃべるだけで面白くないですね。

人間が千差万別、十人十色である理由はこの「探求」心のベクトルが人によって違うからではないでしょうか?それが人間のアイデンティティの一角を形成していると考えることも出来るでしょう。人によって着目点が違うからこそ、人は独創的と言われる発想ができ、天才と呼ばれる人が存在するのです。AIが人間と同等な存在になるために欠けている要素とすればこの「探求」ではないかと思うのです。

結論

今回はちまたでよく言われている「AIは人間を超えるのか?」という観点で考察しましたが、部分的には超えてる分野もあるけど、まだまだ人間の需要は尽きない。といったところが結論となります。もちろん、僕の個人的な勝手な意見なので実際とは異なる可能性の方がかなり高いですが、確かにいえることは「人間に求められる能力は発想力に変わりゆく」といったところでしょうか。

仮想通貨

AIについての馬鹿丸出し駄文で、もううんざりという方もいると思いますが、許してください。仮想通貨について書かせてください。

ビットコインブーム

まーすごいですね。ビットコインのブーム。一時は200万円に届くかと思われましたがその後大暴落。普通の通貨ではありえないアグレッシブな価格変動です。おそらく金儲け目的で「なんかよく分からんが、仮想通貨は儲かるぞ」と買った直後に大暴落で青ざめた人も沢山いると思いますが、まぁそんなもんですよね。だってビットコインは何にも管理されてませんから。普通の円をはじめとする通貨は金を価値基準とした「金本位制度」を元に作られ、その後、国によって流通が管理される「管理通貨制度」に移行しました。つまり、ある程度の管理によって通貨の価値が保障されているため、安心して使うことが出来るわけです。しかし、ビットコインはどうでしょうか。一部の人間が大半のビットコインを保有し、その気になれば自由に相場を変化させることが出来るそうです。株取引では禁止されてるようなインサイダー取引も可能です。つまり、ビットコインはネット世界共通の通貨形態をもたらすという本来の理念とは異なり、単なる金儲けの手段になってしまったわけです。金儲け関連の話は話し出したらきりがないのでここら辺にしといてビットコインの仕組みについて語りたいと思います。

ブロックチェーン

はっきり言ってブロックチェーンの仕組みは「素晴らしい」の一言です。全取引履歴をあえて公開することによって、通貨、取引の確かさを保証するという仕組みは目から鱗です。そして、その保証する仕組みに必要な計算資源の対価にビットコインを与えるという人間の心理をも利用した完璧なアルゴリズムだと思うのです。しかも、分散型という。あっ。ブロックチェーンの仕組みをここで語るほど余裕はないので適当にググってください。アルゴリズムとしては、完璧だったと思うのです。「アルゴリズムとしては」ですけどね。

ビットコインの問題点

ビットコインの問題点としてはさっき言ったように投資目的の取引の他に、ビットコインのシステムに対して計算資源を提供するマイナーが中国に集中してしまったことがあります。マイナーは誰でもなることが出来、提供した計算資源に応じたビットコインが与えられるため、大規模なマイニング設備を電気代の安いところに建てて荒稼ぎし始めたのです。そして、

組織化された採掘集団がマイニングに殺到しました。2016年現在、「採掘」は7割を中国が担っており、もはやコミュニティ運営が正常に行えなくなっていて、コアの開発を担当していた人物が「ビットコインという実験は失敗だった」と表明する事態になっています。 (Gigazine,2016)

という事態にもなっています。まぁブロックチェーンを応用した最初のシステムなので当然と言えば当然です。しかし、もはや手のつけられない領域にビットコインは達してしまいました。おそらく、この先様々な規制が仮想通貨全般にかけられることになると思います。そのときに価格がどうなるのかは神のみぞ知るところでしょうか。(おそらく大暴落すると思いますが。)

僕が面白いと思う点

僕がこのビットコインで面白いと思ったことは、システム全体が「分散型計算システム」を形成しているところです。深層学習やデータマイニングが主流となった今、計算資源はあればあるほどよいものです。一方で普通のユーザーがパソコンの計算リソースを使い果たしてることはほとんどありません。その余剰な計算リソースを集めて必要な人に提供する。僕がたまに「P2Pは偉大」とTwitterでつぶやいているのはP2Pが分散システムの基礎であるからです。実際にこのようなシステムは「BOINC」等で実現されてます。このシステムをもっと自由度が高いものに出来たらいいなと思ってて、今のところ個人で色々調べてます。

最後に

AI、仮想通貨についてつらつらと書いてきましたが、ここ数年でIT界ではすさまじい革新が起きてますね。この先どのようになるのか、すごい楽しみです。

参考文献

大野健太(2015) 「ニューラルネットの歩んだ道、ディープラーニングの登場で全てが変わった 」

Gigazine(2016) 「Bitcoin採掘の7割を中国が占め、元開発者が「実験は失敗だった」と表明」

この記事は「カオスの坩堝 Advent Calendar 2017」の24日目の記事でした。 PiBVTが担当しました。25日目は、艮 鮟鱇 さん担当の予定です。

コメント

  1. nininga より:

    人間も上位の存在によってプログラムされているかもしれない