或る手紙

もう私には耐えられません。愛想が尽きた、とでもいうのでしょうか。凡そ教育と呼べるものの一切を受けてこなかった私には今の思いを上手く形容する言葉が見つかりませんが、とにかくもう今の貴方は見るに堪えないのです。

今の貴方はもう私の好きだった貴方ではないのです。お変わりになられた。一度、お別れを申し上げたとき、私は、貴方のことですから屹度また素敵な人生を歩んでくれることと、そう考えておりました。ですがこうして戻ってきた今の貴方はどうでしょう。からきし遊んでばかり居られて、其れが何になるというのでしょう。貴方は「此れも亦勉強である。御前には分かるまい」と仰っていたようですが、私にはさっぱりわかりませんでした。一晩限りの関係になんの意味がありましょう。私には、愛が、恋が、何もかもがわからなくなってしまいました。

コメント

  1. nininga より:

    明治大正感があって良い