電子マネーWAONの怪

この記事はカオスの坩堝アドベントカレンダー2018の2日目の生地です。

こんばんはこんにちはおはようございます。艮鮟鱇です。皆様お元気でしょうか。私は一階の微分方程式で詰まっています。数学なんて大嫌いです。

さてそんなことはともかく、皆様このカードをご存知でしょうか。

そう、言わずと知れた電子マネーWAONのカードですね。予めお金をチャージしておくことでイオン系列店でお得に使うことができる、とても便利なICカードです。レジでタッチすると\ワオン/と可愛らしい鳴き声が聞こえるので、きっと皆様もあっちで\ワオン/こっちで\ワオン/と利用されていることでしょう。

さてそんな電子マネーWAONを使う利点として、電子マネーWAONで支払いをすると電子マネーWAONポイントが貯まる点が挙げられます。毎月5・15・25日は2倍になるやつですね。貯まった電子マネーWAONポイントは電子マネーWAONに1ポイント1円分として交換することができます。つまり図で表すとこうなります。(以下図はクリックで拡大します)

なんでこんなことを一々図にするんだと思われるかも知れません。実は電子マネーWAONは、その可愛らしい鳴き声と裏腹に、とても複雑なポイント体系を持つシステムなのです。それをいまからご説明したいと思います。

ときめきポイント

イオンには電子マネーWAONのほかに、イオンクレジットカードがあります。

一般に、クレジットカードを使うとポイントがたまります。イオンクレジットカードも例外ではなく、このカードを使って買い物をすると「ときめきポイント」が貯まります。比率は200円につき1ときめきポイントです。

このときめきポイント、専用サイトから直接商品と交換することも可能なのですが、電子マネーWAONに還元することも可能なようです。大規模ブランドの面目躍如といったところでしょうか。

どうやってポイントを交換するのか調べようと思い、ときめきポイントのサイトを見ていると、次のような画面が出てきます。

「電子マネーWAONポイント」と「WAON POINT」

奇妙な表記に出くわしました。「電子マネーWAONポイント」と「WAON POINT」。言うまでもなく「ポイント」と「POINT」は同じ意味ですから、一見これらも同じように見えます。

さきほど、電子マネーWAONを使用した際に貯まるのは「電子マネーWAONポイント」だと書きました。決して「WAON POINT」ではありません。

では「WAON POINT」とは一体何なのでしょうか。「WAON POINT」のサイトに行くと、次のように表記されています。

イオングループ各店、WAON POINT加盟店で現金などでのお買い物時にWAON POINTカードをご提示(お預かりしてレジにてカードの読み取り)いただくと 200円(税込)で1WAON POINTがたまります。

またときめきポイントのサイトには次のような図が掲載されています。

すなわち「WAON POINT」はWAON POINTカードを提示し買い物をすると貯まるポイントです1。「電子マネーWAONポイント」は電子マネーWAONでの買い物時に貯まるポイントでした。「WAON POINT」と「電子マネーWAONポイント」では、ポイント(POINT)が貯まる条件が異なるようです。

「電子マネーWAON」・「電子マネーWAONポイント」・「WAON POINT」・「ときめきポイント」についてわかったことを図で表すと次のようになります。

ポイント交換

さて、ここまでで4つの電子通貨が登場しました。こうなってくると、相互間の関係――すなわちポイント交換の仕組みがどうなっているのか気になります。なぜなら、もしレートに偏りがあれば、まるで幕末の日本のようにイオングループから大量の電子通貨を引き出すことができるかもしれません。大儲けのチャンスです。

前の図で空いているところを順に埋めていきましょう。

まず、ときめきポイントは「WAON POINT」と「電子マネーWAONポイント」双方に交換が可能です。「WAON POINT」に交換する際は「ときめきポイント1,000ポイント以上500ポイント単位」で「2ときめきポイント=2WAON POINT」2。「電子マネーWAONポイント」に交換する際は「1,000ときめきポイント以上500ときめきポイント単位」で「1,000ときめきポイント →1,000WAONポイント」3

サイトの表現が迂遠ですが、要するに1ときめきポイントが1ポイント(POINT)でよいようです。つまりこうなります。

最後に「WAON POINT」と「電子マネーWAONポイント」について調べます。なかなか直接書いてあるところが見当たりませんが、電子マネーWAONの公式サイトに次のようにあります。

WAON POINTの交換

電子マネーWAONカードのご利用でたまったポイントは、(中略)電子マネーWAONに交換した後、全国の電子マネーWAON加盟店でお支払いに利用できます。

分かりにくいですが、ここでの「電子マネーWAONカードのご利用でたまったポイント」は「電子マネーWAONポイント」ではなく「WAON POINT」を指します4。つまりこの文章は「WAON POINT」は「電子マネーWAON」に交換できると言っているように一見思えます。

しかし次の段落を読むと

電子マネーへの交換ステップ

WAONステーションでダウンロード(電子マネーWAONポイントに交換)→ポイントチャージ(電子マネーWAONに交換)

とあり、結局「WAON POINT」は「電子マネーWAONポイント」にのみ変換可能であることがわかります。比率は1WAON POINTが1ポイントです。図にするとこのようになります。

これで全ての交換を書き入れることができました。

考察

図を眺めてみると、残念ながらレートに破綻は無いようです。どのような経路でポイントを交換しても、最終的に得られるポイントは同じになります。さながら保存力のようです。

しかしこのポイント体系を破綻なく作るくらいなら、もっと単純な体系にすることをどうして考えつかなかったのでしょうか。この地図を頭に置きながら「電子マネーWAON」及び周辺のポイントを使用することは、不可能でないにせよ面倒です。

そんなことをつらつらと考えながら、またあの\ワオン/を聞いてみると、違った趣があるかもしれませんね。

ところで

わたし艮鮟鱇は生まれてよりこの方、一度も電子マネーWAONを使ったことがありません。この記事の内容を信じて電子マネーWAON及びその他のポイントを使用したことによる損害等の責任は負いかねます。予めご了承下さい。


  1. 図では電子マネーWAONを提示すればWAON POINTカードを提示せずとも良いように読み取れますが、元ページの注釈の部分に「WAON POINT会員登録されていることでWAON POINTサービスをご利用いただけます。」とあるため「WAON POINTカードを提示」とほぼ同じ条件のようです。
  2. http://www.aeon.co.jp/point/waonpoint/index.html
  3. https://www.waon.net/point_exchange/
  4. このページに限らず、公式サイト全体において「電子マネーWAONポイント」も「WAON POINT」も「ポイント」と呼称されます。せめて「WAON POINT」の場合は「POINT」と書いてほしかったところです。

コメント

  1. nininga より:

    道理で日本の銀がなくなるわけだ