8月18日☆

拝啓   一夏の王子様

お元気ですか?

東京に帰ってしまわれたあなたのその後はいかがお過ごしでしょうか

大学ではキチンとやれていますか?

気の合うご学友はできましたでしょうか?

こちらに来られたときは体調を崩され、その療養と聞きましたので

東京に戻られたあなたの体調を少し心配しております。

こちらの空気はすっかり冷め秋の風を感じます。

東京はいまだに「熱帯夜」なのでしょうか

熱帯夜を教えてくれたのもあなたでした。

あなたとの最初の出会いは綺麗な飛行機雲のできたよく晴れた日でした。

うっかりさんのあなたはバスの時刻表を見ずにずーっと来ないバスを待っていましたね。

たまたま通りがかった私が教えたとき、大慌てで時刻表を確認した後強がりをいうあなたがとても可笑しかったものです。

そんなおかしな旅人さんがまさかお父様のお客様だと知ったときは随分肝を冷やしたものです。

お客様に失礼があっては家の名に泥を塗ってしまいますからね。

お父様にいつ怒られるかと冷や冷やしていたものです。

私のことをお父様に言いつけることもできたのにあなたはバス停のことを黙っていてくれました。

あの時からあなたは優しかったですね。

お父様からあなたの夏祭りの案内を頼まれたときはそれはもう天にも昇る心地でした。

こう言うとあなたはご謙遜なさるだろうけど私はあの時からあなたに「ゾッコン」だったのですよ。

まだまだ未熟だった私は生まれて初めて持ったその感情を持て余しあなたにご迷惑をかけたかもしれません。

それでもあなたは優しく私を受け入れてくださいました。

夏祭りで一緒に食べたかき氷、味を決めれず悩むあなたがとても愛おしかったのです。

そういえば今年の夏祭りは東京からアナルファックyoutuberというyoutuberさんも来ていらっしゃいましたね。

あなたはああいう芸風はお好きではないのでしょうか。

顔をしかめていらっしゃっいましたね。

最後に2人で眺めた打ち上げ花火。

花火が打ち上がっている間、神社の境内に腰を下ろしたくさん語り合いました。

あなたの夢や将来の話を聞くのはとても新鮮で楽しませていただきました。

家の決まりごとや地域の風習でガチガチに縛られた私からは想像もできない外の世界には好奇心がくすぐられ、なんどそちらで生まれていればと思ったことか。

本当であればあの時、私はこの想いをあなたに伝えるつもりでおりましたの。

でもあなたとの話の中で言い出すことが出来ず、結局伝えられず仕舞いでしたね。

だからこの手紙をあなたが読むことはないでしょう。

あなたに出すつもりもありませんし、そもそもお父様がそれを許さないでしょう。

人様のモノに手を付けてはいけない、これは家訓なのです。

半人前でも家族の一員、守らなねばならないのです。

手紙でないならそう、これは日記かもしれません。

一夏の思い出をただ綴った走り書きです。

さようなら 

そしてお元気で

もう会うことはないでしょうが

あなただけのお姫様になりたかった私より

コメント

  1. nininga より:

    普通によくわからなかったですごめんなさい