墓標

砂漠に立つ。

頬を汗が伝う。流れた汗は干上がり、熱気の中に霧散する。

肌が灼ける。皮は剥げ、肉は朽ち、遂に骨が覗くだろう。

ここで一歩進むならば。この一度限り脚を持ち上げ、一粒先の砂を踏みしめたならば、私は救われる。

或いは一歩退けば。あの空に燃える太陽の熱射に背を向け、冷えた石畳を鳴らせば、私は全てを忘れる。

眼が焼ける。喉は貼り付き、二度と開かぬ。

私は立つ。ただ立ち尽くす。痕にはただ骨が残る。

コメント

  1. nininga より:

    い き て