Mastodonを1年半くらいやった

Mastodonを始めて1年半くらいたったので、今感じているお気持ちを書きます。

Twitterってクソだと思いません? 日がな一日人が人を叩いてるし、キチガイからの論理破綻したクソリプは飛んでるし、ネタにマジレスはするし、わけの分からんプロモーション動画は流れてくるし……。や、別にTwitterが特異なわけではなくて、多分世の中というのがクソなんであって、でも現実だと付き合う人を選んだり見た目やばい人は避けたりして他人の発言を避けることができるわけですが、一方でTwitterだとRTやらなんやらでダイレクトに飛んでくる。最近は(といってももう大分になりますが)他人がいいねしたやつまで飛んでくるのでたまったものではありません。

そう「いいね」。社会現象になりました。なんでも若者は「いいね」欲しさに SNSをやるらしく、まぁそれはある程度事実なんだろうと思います。実際私も諸々の成果報告をTwitterでやるのは自己承認欲求を満たしたいからですし、その欲求をこうも簡単に満たせるものもちょっと他に無いでしょう。でもこの「いいね」の仕組みこそが他者との軋轢を生んでいるとしたらどうでしょう。

外でもない、Twitterの共同創業者であるジャック・ドーシーがTEDでこう発言しています(訳はTEDのものをそのまま引用)。

サービスを最初から 作り直すなら フォロワー数は そこまで強調しないと思います 「いいね」の数も強調しません 「いいね」をする機能を そもそも作りませんね 現在 最も重要だと考えていることを 後押しはしてくれませんから ネットワークに健全な貢献をしたり ネットワークに対話をもたらしたり 対話への参加を促したり 対話から何かを学ぶことには つながりません

お前がそれを言うのかというのが正直なところでしょうけど、まぁそうです(というかTwitterで「対話」を重要視してる人なんてどのくらいいるんですかね……)。でもTwitterでこれを今から実現するのはおおよそ不可能でしょう。「いいね」廃止なんかしたらみんなTwitterの利用者は急激に減るだろうし、それはTwitterの広告収入を減らすことに直結するからです。

ところでMastodonというものがあります。多くの人にとっては「ありました」かも知れません。 2017年4月くらいにnullkalさんがmstdn.jpをたてたりPixivがpawoo.netをたてたりドワンゴがfriends.nicoをたてたりして人気が出た「アレ」です。ちなみにすでに firends.nicoは廃止され、mstdn.jpはnullkalさんの手を離れてきぼうソフトに渡り、このあいだ合同会社分散型ソーシャルネットワーク機構というところが管理することになったようです。一方pawoo.netは独自機能の追加など拡張を続け、独自の文化を持つに至っています(見ていないのであんまり知りませんけど)。

Mastodon本体は今も開発が続いています。この間v2.9.3が出て、もう少しするとv3.0.0のメジャーアップデートが出るような雰囲気です。最近では投票機能が入ったり、「ディレクトリ」という他者が見つけやすくなる機能が入ったり、リレーと呼ばれる他サーバでの投稿をより閲覧しやすくなる仕組みなどが追加されました。

さてMastodonは「Twitterのミスから学んだ」SNSで、先程挙げたTwitterのクソな部分をそこそこ解消しています。例えばMastodonには引用RTがありません。引用RTは相手の発言を他者にさらしながらダイレクトに言及できるため、過激な議論に発展しがちです。またMastodonには他者の発言の検索機能がありません(自分の発言・自分がファボをつけた発言は検索できる(場合がある))。これにより、いわゆるエゴサを防いでいます。このような仕組みはジャック・ドーシーが言った「『いいね』をする機能を そもそも作」らないよりも穏当な方法で「ネットワークに対話をもたらし」ているように見えます。一方で単純な手法では自己承認欲求を満たしにくくなっていると感じられます。

Mastodonが流行ったとき、あるいはそれ以降でも「Twitterはすぐ凍結する! Mastodonに移行だ!」みたいな論調が多くありますが、上のような内容を踏まえるとTwitterの代替としてMastodonを見ると期待はずれになるんだろうなぁと思います。そもそもその設計思想からしてMastodonはTwitterと全然違うわけです。

理念的な話をするのが疲れてきたので感覚的な話をすると、Mastodonは Twitterほど人々がわちゃわちゃしていなくて、まったりできるのかなぁという印象をもっています。あるいはそういうTLを作りやすいというのが正しいかも知れません。もっと言うと、私は自分の鯖を立ち上げて身内ばっかりでわちゃわちゃしているというのもあるので、結局私が欲しかったのは「身内で盛り上がるための小さいSNS」と「自己承認欲求を満たすための大きなSNS」だったという話かもしれません。

(書くのが疲れてきたのでここで終わり。そのうち追記するかも)