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焚べる

(2018年12月22日0時改稿) 焚き火に投げ込まれた枯れ枝は、炎に当てられた途端に呆気なく燃えた。乾き切っていない枝があったのか、火は視界をぼやけさせる程の白煙を吐き続けている。顔を焦がす熱を感じて、わたしは椅子を少しだけ引いた。 「薪、もう無くなっちゃったけど」 「良いんだよ。これ以上燃やしたら、寝る前に消えなくなるから」 軍手を外してテーブル...

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無い袖は振れん

ち。 皆さんこんにちは。STARTです。昨年のAdvent Calendarをカオスの坩堝での初めての投稿とした僕ですが、今年も無事記事を上げることが出来ました。ざっくり二年目最初の投稿となる本記事は、少し長めのものとなってしまうと思われますが、どうぞ最後までお付き合いいただけますと幸いです。 さて、ご覧の通り今回の記事タイトルは「無い袖は振れな...

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墓標

砂漠に立つ。 頬を汗が伝う。流れた汗は干上がり、熱気の中に霧散する。 肌が灼ける。皮は剥げ、肉は朽ち、遂に骨が覗くだろう。 ここで一歩進むならば。この一度限り脚を持ち上げ、一粒先の砂を踏みしめたならば、私は救われる。 或いは一歩退けば。あの空に燃える太陽の熱射に背を向け、冷えた石畳を鳴らせば、私は全てを忘れる。 眼が焼ける。喉は貼り付き、二度と開かぬ。 私は立つ...

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憧憬

暫くすると、ロードバイクは上り坂へと差し掛かった。車二台がようやくすれ違えるかというような幅の、舗装も不完全な道を走るその先、東南東の空には先程上ったばかりの満月が輝いていた。 「嗚呼、帰ってきたのだな」 僕は小声でそう呟いた。産まれてから中学卒業までの十数年間を過ごした故郷、実に七年ぶりの里帰りになる。がたがたになった坂道も、その横に建つ瓦屋根の家並みも、あの頃と何一つと言っ...

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8月3と4分の3日

「危ないわハリー! ヒッポグリフから離れて!」 ハーマイオニー・グレンジャーがそう叫んだので、慌ててポッターはヒッポグリフから離れた。ヒッポグリフは突然甲高く鳴き声を上げたかと思うと、今までポッターが居た辺りに向かってむちゃくちゃに蹴りを入れた。 「おっどろいた。ハグリッド、ヒッポグリフの様子が変だよ」 ロン・ウィーズリーがそう言ったのに、グレンジャーが答える。 「見て、目...

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いずれ訪れる水資源の枯渇に備えて

STARTです。4月に入り、新学期が始まりましたね。京大にも新入生という新たな風が加わり、今年の大学の始まりを実感させてくれます。私も心機一転、初心に帰ったような心持ちで、今講義中にこの文章を書いています。 人間というのは一日二日でそう大きくは変わりません。小学生時代から授業を寝続けた私が保証します。 さて、私の新年度が闇と絶望の中で幕を開けたことはともかくとし...

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小説解釈地図『恩と仇』

こんばんは、STARTです。今日はいつも通り短編小説でも投稿しようかと思っていたのですが、ふと「私の小説はどう受け止められているのか?」と気になってしまいました。そこで今回は、先日の「御伽噺改変大会」にて投稿した『恩と仇』に関して、書きながら考えていたこと、表現したかったこと等を記してみようかと思います。それは面白いのかと言われると、読む人に依ると言わざるを得ませんが、「ああ、こんなことを...

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【結果発表と閉会宣言】御伽噺改変大会

STARTです。23時過ぎを持って投票受付を終了させていただきました。早速ですが集計結果を発表します。僕は情報弱者なので、スクショを貼り付けて終わり!これ以上の情報は要らんでしょう。 以上です。本当は回答もハンドルネーム付きでお願いしようかと思っていたのですが、まあいいでしょう(次回はそうします)。 今回は全問正解者が複数人いらっしゃいました。簡単すぎたかな?(ただし世界...

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【作者当て開始】御伽噺改変大会

STARTです。御伽噺改変大会、いよいよ読者による作者当てを開始します。 こちらで回答を受け付けています。受付時間ですが、開始が遅れたこともありますので、 23時までとさせていただきます。たっぷりだね!じっくり読んで回答していただければ幸いです。 そして、回答フォームではそれぞれの作品の感想も任意で受け付けています。少なくとも僕は感想や批判がもらえれば有難いと思う人間なの...

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恩と仇

あの娘が来たのは寒い冬の夜でした。 「ごめんください。どなたか、食べ物を分けてはいただけませんか」 飢饉の口減らしのため、住んでいた村から殆ど追い出されるように旅に出たという娘を、あの人はすぐに家の中に通しました。あの人というのは、ええ、そうです。私の夫のことです。 心優しいあの人のことです。野垂れ死にそうな娘をそのまま放っておく筈もありませんでした。娘にご飯を食べさせている間に、あの人...