小説一覧

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視えぬ者

初めに言っておくのだけれども、この投稿は少し特殊だ。まあ詳しいところはどこまで話していいのかも判らないので伏せるが、以下の小説は、カオスの坩堝内で開催予定のとある企画に関する、プロトタイプだ。具体例だ。叩き台だ。起爆剤だ。内容としては、私が高校時代に、ある有名な童話を基に作った短編だ。執筆当時から何の手も加えずにコピペした、成分無調整の無添加だ。ただし元々題名は無かったのでそれだけは新規だ。まあ、...

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おやすみ

(この話はフィクションです) ある、とある夜も深くなりつつある中... ああああぁぁぁぁぁぁぁ、ねれないの...つらいの...このままね、もうね、おしまいにしたいの。もうおしまいだよぉ.... もうね、おしまいなの。どこからかしこから見てもね、僕らはね、もうね、なにもね、してはね、いけないの。ここにね、いるだけで、ここで話しているだけで、もうね、いけないの。いけないの。も...

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浴場

「本当に、俺なのか?」思わず出た独り言が、風呂場に響きわたる。それは直ぐにシャワーの音にかき消された。 俺は仕事で大きな失敗を犯した。新たな取引先の獲得に失敗したのだ。成功すれば過去最高の利益が見込める。そう言われていた大事な商談だった。 ーーーーーー 光栄なことに、俺は1年前そのチームに参加することになった。当時入社2年目だった俺は、俺が任されていいのかという不安より、絶対に成...

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初めまして、AOLと申します。アオルと読みます。諸般の事情によりSNSアカウント等とのリンクは行なっておりません。ご了承ください。私がどういう人物であるかはおいおい話させていただくとして、まずは挨拶がわりに小説を投稿させていただきたいと思います。 僕には彼女がいた。一言で表すなら…白だ。真っ白で、綺麗な人だ。 本当に、綺麗な人だった。 ...

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これからも私は

この世界には"裏"というものが存在しない。いつも私に見えている部分が表だとするのならば。いや、そもそも今見えているもの以外に見ることのできるものがないのだから、裏表という概念をもっていることがおかしいのかもしれない。 それでも私は、自分に見えていない、裏が存在するのだと信じてやまない。私は裏を探したいのだ。まずは自分の力で無理やりに向こう側を見ようとしてみた。しかしそれはかなわないとすぐにわ...

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名前のある猫の話

「吾輩は猫である。名前はまだない。 この書き出しから始まる本が大昔に発行されたらしい。なんでもニンゲンである某とかいう輩が猫の振りをして本を書いたらしい。これは我々猫に対する冒涜であり直ちにやめさせなければならない!」 広場の真ん中でトラ柄が声高に叫んでいる。周りからにゃー、とやる気のない合いの手が入る。トラ柄が過激な演説をするのはいつものことであるし、一ミリも本能に訴えかけな...

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初雪の朝

この投稿は「カオスの坩堝 Advent Calender 2017」の27日目の記事です。 京都にこの冬初めての雪が降った朝のことだった。私は大学の1限を休んで下鴨神社へとお参りに来た。普通なら2限に間に合うギリギリまで寝ていたいのだが、今日はちがった。私は自殺の成功祈願にきたのである。 「上手く死ねますように。」   こんなお願いを神様が聞き入れてくれるかどうか...

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礼拝堂、信仰心あるいはヨツコブツノゼミ

この投稿は「カオスの坩堝 Advent Calender 2017」の17日目の記事です。         リオデジャネイロのはずれにある森の中をぶらぶら散策していると、妙な光景が視界に飛び込んできた。  崖から突き出すようにして設置された建物だ。古びており、今にも熱帯地方の力強い植物たちに飲み込まれんという有様であるのに、どこか荘厳で揺るぎのない美しさを湛えている...

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ロマンティック・ロマンティスト

この投稿は「カオスの坩堝 Advent Calender 2017」の15日目の記事です。 「猫サークル」なるものをご存知であろうか。もちろんの事ながら、猫を愛する貴婦人たちが集い猫自慢をし合う会、あるいは猫に障害物競走などをさせて楽しむ会、などではない。つまり彼らのしている事とは、そこらにいる野良猫たちの"お世話をする"——具体的には、餌をやったり、去勢手術をしたりして、ねこが快適...

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ゆめ・うつつ合戦

この投稿は「カオスの坩堝 Advent Calendar 2017」の11日目の記事です。      それは私たちが起きている間は息をひそめ、眠りについた後人知れず活動を始める。 ひどくおどろおどろしい(もしくは使い古された)表現をしてしまったが、君もよく知っているはずだ。そう、何を隠そうこれは「夢」のことだ。もちろん「夢」といっても将来の願望という意味ではなく、寝ている間によく見る謎...